恐るべしホクロ毛の生命力

日々の暮らし

本当にくだらない話なんですがね…

私の太ももにはホクロがある。
座るとちょうど視界の入る場所にそのホクロはあるんですが、そのホクロから一本、毛が生えてる。
本当はダメなんだろうけど、その存在に気付いてしまった瞬間
ついつい抜きたくなるのがホクロ毛…

しかし抜けども、抜けども生えてくるがホクロ毛。
あれっ、ついこの間、抜いた筈なのに!?
当然の如く、そこには奴が存在している。
恐ろしいほどの生命力に満ち溢れてるホクロ毛。
抜くと生える、生えると抜くのイタチごっこにも、そろそろ疲れてきていた私。

少し時を戻して2023年の12月。
ついこの間抜いた筈のホクロ毛を再び発見してしまった。

抜いても抜いても生えてくる、この生命力…
もし抜かずにいたら一体どこまで伸び続けるんだろう?

そんなくだらないことが脳裏を掠める。
こうなりゃ共に年を越そうではないか!
そんなこんなで、ホクロ毛の成長と紅白歌合戦の勝敗を見守りながら過ごした大晦日。

明けて2024年のある日。
1ヶ月以上、寝食を共に過ごしていると、どうやら関係性も変わってくるものでして…
あんなにも抜きまくっていたホクロ毛に愛着を感じ出す始末。
少しずつ伸びるホクロ毛に一喜一憂しながら成長を見守る。
あんなに忌み嫌ってたはずなのに、ここまでくると不思議なもんで愛情すら芽生えてくる。
抜くと生える、生えると抜くのイタチごっこをしていた頃が嘘のよう。
慈愛に満ちた瞳の先には、そよぐホクロ毛。
側から見れば、さぞ気持ち悪いことでしょうよ。
そしていつしかトイレに行くたび、ホクロ毛の生存と成長を確認するの日課となっていた。
それはまるで子供の頃に夏休みの宿題で育てた朝顔の様。
いつ花が咲くんだろう?ワクワクしながら毎朝、水やりしてたっけ。
来る日も来る日もホクロ毛を観察しながら、ふと思う。

この毛は一体、どこまで伸びるんだろう?

この際だから出来るだけ健やかに伸びてもらいたい。
10cm、いや5cmでも良いから伸びてくれたら、今後のネタにもなろう。

いい歳してバカじゃないの!?
姉はに、そう言われつつもホクロ毛の成長記録を熱く語る。
なんだか久々に充実した生活を送っていた。
生命力があるものと向き合うのってのは大切だと改めて気付かされる。
地味ではあるが確実に生活に張り合いが出てきた矢先、事件は起きたのだ。

別れと言うものは突如訪れる。
サヨナラも言わずにある日突然、奴は姿を消したのだ。

トイレに行き、いつものように何気に太ももを見る。
そう、ここ最近の習慣であるホクロ毛の成長と生存確認をするためだ。

いない

朝には居たはずなのに、何処へ行った??
いろんな角度からホクロを観察する。
指先でホクロ毛を触り確認するも、毛の感覚がない。
そんなところにある筈ないのに、なんなら振り返ってみたりなんかして…
忽然と太もものホクロから姿を消したホクロ毛。

そして用を足しながら静かに現実を受け止める。
トイレの中、突如訪れた別れに呆然とし、言い知れない寂しさを覚える。
同時に思ってたよりも愛着が湧いてたことに少し動揺する。 
だって言うてもホクロ毛よ…

いつだって、別れは突然訪れる

そんなことをホクロ毛がそっと教えててくれたのだ。

その後、寒い冬は去り花粉舞う春が過ぎ、梅雨が訪れる前に夏暑さが押し寄せる今日この頃。
もうね、今年の始まりはどうかしてたよね…
太ももに生えるホクロ毛のお陰でちょっとした愛憎劇を見たりなんかして。
憎しみから愛情、そして別れまでの展開が早いのなんのって。
今年の冬は昼ドラよりもドラマチックな冬でした。

で、その肝心のホクロ毛の現在はと言うと…
最後のお別れから未だ姿を見かけることはなく。
どうやら私の過剰な愛情と成長への期待からくるプレッシャーに毛根もろとも行方をくらました様子。
良かったような、残念なような長年連れ添ったホクロ毛と本当に決別したみたいです。

頻繁に生えてちゃ抜く、生えてきちゃ抜くの攻防戦を繰り広げた結果、愛着まで湧いてしまったあのホクロ毛も今となったら懐かしい思い出。

えっ!?もしまた生えてきたらって?
そんなの、もちろん決まってるじゃないの!

ソッコーで抜いてやるわ!!

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