40代独身女性の今なら分かるその気持ち

日々の暮らし

ワタシがまだ20代だった頃のおはなし。
「A子のことなんだけど…最近、意地悪なことばかり言ってくるから一緒に居るとしんどいのよね…」
年上の友人が、別の友人についてワタシに愚痴ってたのを思い出した。

その年上の友人とワタシは年齢が10コ以上離れている。
大人になり社会に出て仕事で知り合い意気投合して仲良くなった。
若造だったワタシは人生に於いても仕事に於いても沢山のことを彼女から教えてもらった様に思う。

友人との話題に出てきたA子さんの当時の年齢は今のワタシと同じくアラフォー。
そして今のワタシと全く同じく独身だった。
思い返せば事あるごとに友人に対して、A子さんは意地悪なことを言ってのをよく覚えている。
友人曰く、その頃のA子さんは仕事も上手く行ってないし人間関係でも悩んでいた。
結婚がしたくてしょうがないけれども彼氏もいないし出会いもない…
そんな自分の状況が嫌だし、周りからも惨めに思われたくないと友人によく愚痴をこぼしていたそうだ。
そして変なところで見栄っ張りなところがあったそうだ。



『まぁ、いろいろと悩む年代に差し掛かってきたから気持ちが分からんでもないけれど、あまりにヒドいと私も一緒に居るのが疲れてくるのよね…
私が少しでも楽しそうにしていると腹が立つのか、意地の悪いことをチクっと言ってくるのよね〜。
いつもヘラヘラしてて何も悩みがなさそうに楽しげに過ごしてるのがムカつくのかな?
隣の芝生は青く見えるかもしれないけど、実際は私だって悩みもあるし嫌なことだってあるのになぁ…』
そんなことを、よく友人は言ってた。

A子さんとは数回、会ったことがあるのだが当時のワタシはあまり良い印象を持っていない。
何ともスカした感じで、いけ好かない女性って感じのイメージだった。
なのでA子さんの話を聞くたび、当時よく言われていた『アラフォー独身女=負け犬』ってイメージが頭をよぎり、自分はそうはなりたくはないなと思ったりしたものだ。(失礼な話だが…)

そんだだから友人に意地悪ばかりいうA子さんのことを20代のワタシは
「人生に行き詰まり八方塞がりなんじゃないの!?」
「もっと楽に生きたらいいのにね〜。自分で自分を窮屈にしてるんでないの?」
「そんなに卑屈になることないのにねぇ…」
なんて勘違い甚だしいことをほざいたりしたものだ。

『人に対して無責任なことを言うものではありません。』
『人にやられたり、言われたら嫌なことは人にしてはいけません。いつか自分の身に返ってくるよ!』
子どもの頃、母親にそんなことを言われたものだ。

しかし、こればかりは母親の言うことが正しかった…
10数年前、軽い気持ちで放り投げたあの時のボール。
10数年後、トゲトゲのボールに変化してワタシの胸に跳ね返ってきた。

今、この歳になりあの頃のA子さんと同じ様な境遇になってみて思う。
若いって無敵で罪深いものだよね…
もちろん若さ故に体力もあるし、精神的に今よりもゆとりがあったから強いっちゃ強い。
そりゃ、20代には20代の悩みはあったけれど、今ほど捉えどころのないモヤモヤした悩みはなかった。
そして何より両手に有り余るほどの余裕があった。



あんなに有り余るほどあった余裕は、一体どこへ消えたのだろう?

この歳になりA子さんと同じ土俵に立ったワタシ。
悲しいかな、あの時のA子さんの意地悪心が何となく分かる気がする。
側から見れば迷惑な話だが、そうでもしないと自分を保てないのかもしれない。
満たされない心は、ねじ曲がっていく一方だし…

世間では『アラフォー独身女=負け犬』な空気が漂ってたあの時代。(それは今もあまり変わらないが…)
誰だって人から惨めに見られたくないものね。
A子さんも、きっとそんな自分を取り繕うと必死にもがいてたのかな。
日々焦る気持ちは大きくなるけれど、何も変化は起きない。
かと言って、今更大きすぎる変化が訪れてもきっと怯んでしまうだろうし…
仕事も上手く行かない、100%腹を割って心底格好悪い自分について話せるなんて友人もいない。

あの頃のA子さんに今のワタシだったら、きっとこう言うはずだ!
「お互い何かと大変ですよね。よかったら今度、呑みながら腹を割ってお話してみませんか?」

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